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しばらく沈黙が続き、和哉が、今、どんな気持ちでいるのかが、自然と私の胸に伝わってきて、私の目から、一筋の涙が零れ落ちた。
「…和哉…。」
『……………。』
私が、呼んでも、和哉は、何も言わずに黙っていた。
それを察したのか、神楽が、私に近づいてきて、私の携帯を奪いとり、電話に出た。
「和兄!!
白血病だか、なんだか知らねぇけど、杏ちゃんを泣かせたら、絶対に許さねぇからな!!
確かに、俺は、杏ちゃんが大好きだし、つき合いたいと思ってる!!
けど、病気になったからって、託すなんて言われても、無理に決まってんだろ!!
杏ちゃんは、和兄が、いなくなったから…なんて理由で、俺と付き合ったりしないよ!!
それは、和兄だって、ちゃんと、分かってるはずだろ!?
なのに、あんなメール一つよこして、託すなんて、ふざけんなよ!!
杏ちゃんと付き合うなら、和兄が、病気を完治させて、元気になってから、正々堂々と決着つけるよ!!
だから、んな弱気になってねぇで、ちゃんと、病気治さねぇと許さないからな!!」
神楽は、両目に涙を溜ながら、怒鳴るように言った。
『…でも…俺…もう…治ら…ない…んだよ…。』
和哉は、震えた声で言った。
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