3人の想い

11/38
前へ
/691ページ
次へ
神楽は、和哉の言葉を聞いて、横にいた私の手を、ギュッと握り締めた。 「…何…弱気…に…なってんだよ…!? そんな…の…絶対に…許さない…からな!! 俺も…杏ちゃんも…骨髄の検査するし…もしかしたら…合ってるかもしれないじゃんか!! …だから…そんな…弱気になるなよ!!」 神楽は、泣きながら強い口調で言った。 『…神楽…ありがとう。 ごめん…。 杏奈に…変わってくれるか?』 「あぁ。」 神楽は、頷くと、私に携帯を渡してくれた。 「…もしもし…?」 『杏奈…辛い想いさせて…ごめん。 杏奈と神楽…骨髄…検査してくれるんだってな…。 俺…家族いねぇから…もう…無理かも…って、弱気になってた…。 お前か神楽の…骨髄…合えばいいんだけどな…。』 和哉は、静かに言った。 その声には、全然迷いがなく、覚悟を決めたようにも聞こえた。 きっと、白血病だって分かってから、いっぱい泣いて、ずっと、一人で抱えて、家族がいないし、怖かったに違いない。 でも、私と神楽が、骨髄検査をすると聞いて、安心した声にも聞こえた。 「和哉…私…和哉が、嫌だって言っても、傍にいるからね!! 死ぬなんて…絶対に許さないからね!!」 私は、泣きながらも強い口調で言った。
/691ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1594人が本棚に入れています
本棚に追加