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あれから、半年ー。
私は、大分、気持ちも落ち着いてきて、家族とも少しずつ話すようになっていた。
そして、少し、暖かくなり始めた5月の半ば…。
思いがけない人からの電話がかかってきた。
それは…半年前に撮っていたドラマで共演していた、海堂 和哉【かいどう かずや】からだった。
『杏奈…?
久しぶり…元気にしてるか?』
受話器から聞こえる、その優しい声に、私は、胸が高鳴った。
「和哉…!?
どうしたの!?急に…。」
『お前こそ…どうしたんだよ!!
体調崩したから…って、急に引退しちまってさぁ…
マンション行ったら、もう引き払った後だし、電話しても出ねぇし、心配したんだからな!!』
「ごめん…。」
『【君を心から愛してる】の撮影の時に、何度も倒れてたし…
大丈夫なのかなぁ…?って、いつも心配してたんだからな……。』
「ありがとう。
心配してくれてたんだ…。」
『あっ…当たり前だろ!!
俺は…ずっと、お前が好きだったんだから…。』
「心配させて…ごめん…。」
私は、そう言って、しばらく黙り込んだ。
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