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前方には、看板と思しき木の板が地面に刺さっていた。
ずいぶんと古く、書かれている文字はうっすらとしか見えない。
シュフラを退治してから何時間かが経っていた。
何事もなく森を抜け、二人は人類軍の基地を目指していた。
「イーリまで一キロ……か」
グムタフはシュフラの牙で、看板の字をなぞるように削ってやった。
これで雨風にさらされても、そうそう消えはしないだろう。
「ええ。あの村に連れを待たせてます。きっとまだいるはず」
ムガはグムタフの行動に感心しながら、言った。
「一人で来たのかと思っていたんだが」
一通り削ると、グムタフはイーリの村へ歩き出す。
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