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アステル「あのッ!僕もリヒターと一緒に行きます。」
クレイズ「何だって?!」
そのとたん、シュナイダーが口を挟んだ。
シュナイダー「アステル、君をそんな危険な所に連れていくのは…」
そうだそうだ、と皆は口々に言った。
アステルは言う。
アステル「…シュナイダー様。ならどうして、リヒターだけそんな危険な場所へ行かすんですか…?」
クレイズが険しい表情でアステルに
クレイズ「アステル。コイツはハーフエルフだ。魔術が使える…こんな危険な奴は、危険な所に行って、死ぬか、俺達の為に、罪滅ぼしするのがお似合いなんだよッ!」
リヒター「…ッ…」
-ハーフエルフなんていくら罪滅ぼししたって、変わらない、消えてしまえばいいのに-
過去は、
二度と変わらないのに…
俺は好きでハーフエルフになった訳じゃない…
どうして判ってくれないのだろう。
どうしてッ…?
その時、
アステル「…取り消してッ!」
リヒター「…アステル?」
アステルは怒りの眼で、シュナイダーやクレイズを見つめた。
アステル「…さっきから、皆リヒターだけ責めて…リヒターだけのけ者にしないでよッ!」
クレイズ「…」
アステル「…リヒターは好きでハーフエルフになった訳じゃない…。魔術を持ちたく無かったッ!!」
リヒター「…アステルッ…」
シュナイダー「アステル。落ち着いて下さい…」
アステルは怒鳴る。
アステル「皆からのけ者扱いされて…。ハーフエルフだから距離も置かれたリヒターは、たった一人だったッ!本当はそんなの、リヒターは望んで無かったのにッ!」
リヒター「アステルッ…もういい…」
アステルは、拳でクレイズを叩く。
アステル「何で皆、リヒターを責めるのッ…何でッ…なんでだよッ!」
ポロポロとアステルから涙が落ちる。
リヒターはアステルを止めようとしたが止まらない。
リヒター「アステルッ!もういい…」
アステル「リヒターは一人の人間として見てほしかったんだよッ!だからッ…だからッ!」
リヒター「アステルッ!」
アステル「だからッ!!」
リヒターが怒鳴る。
リヒター「アステルッ!止めろ!」
そのとたん、はっとして、アステルが言うのを止めた。
アステル「…ぁ…」
リヒター「…アステル。有難う。もう…いいんだ。」
グラッとアステルの身体が傾き、リヒターに寄りかかった。
アステル「…僕…」
リヒター「疲れたんだろ。早く休め。…俺達は出発の準備がいる。失礼するぞ。」
リヒターはアステルを支えながら、部屋を後にした。
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