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数日が過ぎた頃。
リヒターは書庫へ、行っていた。
リヒター「…世界樹が枯れたのは、ディザイアンの、ハーフエルフのせい…か」
パタン…
本を閉じて、ポケットからあの少年-アステルと呼ばれた-のネックレスを取出し、眺めた。
蒼く、淡い輝きを放つそれは、リヒターを落ち着かせ、どことなく、ほっとした。
リヒター「早く、持ち主に還さないとな…。」
そんな時、
アステル「あれッ?君は…」
リヒター「…ぁ…」
クレイズ「どうかしたか?アステル…ッ?!お前はッ…!」
ガッ!!
リヒターをクレイズはいきなり掴むと、幼いリヒターの躰を力まかせに引き寄せた。
リヒター「うぐッ…がはァッ!」
クレイズ「お前が…ハーフエルフが俺の両親をッ!」
アステル「クレイズッ!駄目だよ!放してあげてっ!」
クレイズ「アステル、お前だってッ!お前だってッ…両親を殺されただろ!」
リヒター「ハァッ…ハァッ…あ゛ァッ…」
なんだって…?
こいつも…
ハーフエルフを…
怨んでるのか…?
アステル「…ッ…」
クレイズ「ごめん。でも、ハーフエルフをお前だって怨んでるんだろ! なら、こいつは、俺達の仇だッ!」
リヒター「は…はな…せッ…」
クレイズは、手に力をこめ、リヒターを離さない。
アステル「……止めて」
クレイズ「…アステル?」
ドンッ💥
アステルは、思い切りクレイズにぶつかった。
リヒターから手を離し、やっと息が出来るようになると、リヒターは肩で息をする。
リヒター「…ハァッ…ハァッ…アス…テ…ル?」
アステル「クレイズ、この子は、ハーフエルフなの?」
クレイズ「だから、俺達の仇だって!…」
アステル「ハーフエルフでも、この子は関係ないよ。僕達の両親を殺したのは、ディザイアンで、ハーフエルフ集団だったとしても、この子には、この子には…関係ないよ!!」
え…
ハーフエルフに、両親を殺されたのに…
仇だと、
憎まれてしらぬまに、
俺は、ハーフエルフとして生きてきた。
守ろうとも、
救おうとも、
誰も、俺に手を伸ばしてくれなかった。
なのに…
アステルは、
俺を、守ろうとしてくれるのか……?
…アス…テ…ル?
どうして……?
クレイズ「…アステル、事実は変わらないんだ。そいつは俺達の仇。 忘れるなよ…」
アステル「…」
パタン。
クレイズは、冷たい目でリヒターを見下してから、出ていった。
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