第2話 アステル

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数日が過ぎた頃。 リヒターは書庫へ、行っていた。 リヒター「…世界樹が枯れたのは、ディザイアンの、ハーフエルフのせい…か」 パタン… 本を閉じて、ポケットからあの少年-アステルと呼ばれた-のネックレスを取出し、眺めた。 蒼く、淡い輝きを放つそれは、リヒターを落ち着かせ、どことなく、ほっとした。 リヒター「早く、持ち主に還さないとな…。」 そんな時、 アステル「あれッ?君は…」 リヒター「…ぁ…」 クレイズ「どうかしたか?アステル…ッ?!お前はッ…!」 ガッ!! リヒターをクレイズはいきなり掴むと、幼いリヒターの躰を力まかせに引き寄せた。 リヒター「うぐッ…がはァッ!」 クレイズ「お前が…ハーフエルフが俺の両親をッ!」 アステル「クレイズッ!駄目だよ!放してあげてっ!」 クレイズ「アステル、お前だってッ!お前だってッ…両親を殺されただろ!」 リヒター「ハァッ…ハァッ…あ゛ァッ…」 なんだって…? こいつも… ハーフエルフを… 怨んでるのか…? アステル「…ッ…」 クレイズ「ごめん。でも、ハーフエルフをお前だって怨んでるんだろ! なら、こいつは、俺達の仇だッ!」 リヒター「は…はな…せッ…」 クレイズは、手に力をこめ、リヒターを離さない。 アステル「……止めて」 クレイズ「…アステル?」 ドンッ💥 アステルは、思い切りクレイズにぶつかった。 リヒターから手を離し、やっと息が出来るようになると、リヒターは肩で息をする。 リヒター「…ハァッ…ハァッ…アス…テ…ル?」 アステル「クレイズ、この子は、ハーフエルフなの?」 クレイズ「だから、俺達の仇だって!…」 アステル「ハーフエルフでも、この子は関係ないよ。僕達の両親を殺したのは、ディザイアンで、ハーフエルフ集団だったとしても、この子には、この子には…関係ないよ!!」 え… ハーフエルフに、両親を殺されたのに… 仇だと、 憎まれてしらぬまに、 俺は、ハーフエルフとして生きてきた。 守ろうとも、 救おうとも、 誰も、俺に手を伸ばしてくれなかった。 なのに… アステルは、 俺を、守ろうとしてくれるのか……? …アス…テ…ル? どうして……? クレイズ「…アステル、事実は変わらないんだ。そいつは俺達の仇。 忘れるなよ…」 アステル「…」 パタン。 クレイズは、冷たい目でリヒターを見下してから、出ていった。
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