第3話 儚き願い、勇気の先に…

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クレイズ「…二人共、シュナイダー様がお呼びだ」 扉から入って来たのは、あの時、リヒターを仇と言っていた、クレイズだった。 リヒターは身を堅くする。 アステルも、少し心配そうにしていたが、 アステル「分かった。すぐ行くよクレイズ。ねッ、リヒター」 リヒター「…あぁ。」 クレイズ「…早く来いよ。皆待ってるから。…じゃ」 パタン。 扉が閉まり、リヒターとアステルの間に、少し不安がよぎる。 だがその空気を、アステルが破った。 リヒター「…」 アステル「…リヒター」 リヒター「…どうかしたか?」 アステルはフゥッ…と息を吸うと、 アステル『勇気は夢を叶える魔法』 と呟いた。 リヒター「え…?」 アステル「だから、勇気を出してね。リヒター」 アステルが真っ直ぐ見つめた、瞳の先には、リヒターが映る。 アステルの優しい灰色の瞳の中に居る自分は、 強がりを忘れ、 孤独を糧とせず、 ただ、素直なままだと思う。 だから、アステルが言った綺麗事を並べた言葉さえ… 言い返すことさえ、出来ない。 きっと、アステルは 心からそう想っているのだから。 リヒター「…アリガトウ」 アステル「?リヒター?何か言った?」 リヒター「…別にッ!」 アステル「…?そぅ?じゃ、行こっか。皆待ってるよ。」 アステルとリヒターは、書庫の扉を思い切り開く。 そのまま、二人は駆け出した。
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