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ロルグは人の多い表通りから路地裏へと移動した。ロルグはすぐに立ち止まらずに、念の為、逃げ道の確保できる地点で足を止める。
そして間も無く、追っ手もロルグに追い付き、同じく立ち止まる。
「やっとぉ、捕まえましたよぉ」
「お、お前は……」
ロルグは追っ手の正体に驚いた。追っ手はロルグとの接触に喜んだ。そんな二人の間に、なんとも言えない空気が流れる。
「お前は確か、ハンターズギルドで俺の名を呼んでたな。それで、何が目的だ?」
「私ぃ、ずっとぉ、ロルグさんのぉ、ファンなんですぅ。なのでぇ、良ければぁ、握手――」
「待て。近寄る前に、質問に答えてもらう」
ロルグの前に現れたのは、あの腰まで伸びた金色の髪を持つ、ピンクのワンピースを着た少女だった。少女は自らをロルグのファンだと言い、ロルグに握手を求める。
しかし、ロルグはそれを制した。ただのファンにしては不可解な点が多過ぎる、と少女を疑うロルグは警戒の糸を張り巡らす。
「まず、何故、走って俺に向かって来たのか、だ。握手を求めるくらい、歩いて接近すればいいだろう。それに、あの追跡は何だ? とてもじゃないが普通の少女が出来る動きでは無いと思うのだが」
「え~っとぉ~、それはぁ、私がぁ、『おっかけ』だからぁ、ですぅ」
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