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――数分の沈黙。
少女は依然、目を閉じたまま指一つ動く様子の無い。ロルグは、まだその“交代ぃ”とやらが終わって無いだろう、とジッと待つ。
――数十分の沈黙。
目を瞑ったままだとバランスが取りにくいと言われるが、少女の身体は全く傾かない。そしてロルグもまた、ジッと待つ。そんなロルグの瞳には盗人特有の好奇心に満ちたギラギラとした物があった。
――数時間の沈黙。
流石にここまでくると神懸かり的なものを二人から感じる。しかし、ここにきて、やっと少女が動きを見せた。
「わふー」
それは、少女が欠伸で開いた口を隠す為に手を口元に運ぶ動作だった。それにしても変った欠伸である。
「あ、すみません。寝てました」
少女は、さっきまでの間延びした口調では無く、若干機械的な口調に変わっており、垂れ気味だった目尻も若干吊り上がっている。
「それでは話の続きを……と言いたい所ですが、もう夕暮れ時ですね。それに、今日は色々とあって疲れました。なので、また明日のお昼に御伺いします」
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