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ここはロルグが泊まっている宿屋の一室。その部屋はやけに膨らんだベッド以外、何の変哲もない部屋である。ベッド以外。
「う、うーん……」
ベッドで寝ているロルグは、苦しそうに寝返りを打つ。もそもそと楽な姿勢に変えようとするが、腹の上にある重みのせいで、思うように動けない。
これでは寝付けれないのであろう、いや、それ以前に今は昼だ。これらの事柄によって、流石のロルグも目を覚ます。
「おい、もうトロールの肉は食えないぞ。だからその山積みした肉を退けてくれ……ムニャ」
「おはようございます、ロルグさん。多少なりと、私にもお肉は付いていますが、トロールの肉ではありません」
まだ脳が覚醒しきっていないのか、ロルグはおかしな寝言を言う。それに対し、ロルグの腹の上に跨がっている少女――エルールは、その言葉を真に受け、的確なツッコミを入れる。
「だから退けろって。……重いんだか――」
「鉄拳制裁、鉄拳制裁」
「――うおっ! 肉が襲って来たぞ!? 仲間を喰われた復讐か!?」
ロルグの寝言が、年頃の女の子であるエルールの禁句(タブー)に触れてしまった為、エルールはロルグの顔面に向かって、拳を連続で放つ。しかし、ロルグはそれを紙一重で全て避ける。寝ぼけたままで。
そんな攻防(一方的な)が数分続いた所で、ようやくロルグは目を覚ました(寝ぼけ的な意味で)。そして目が覚めたロルグの第一声はというと――
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