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「ん……なんだ? 夜這いならぬ朝這いか?」
「いいえ、鉄拳制裁です。因みに今はお昼です」
「じゃぁ、何故ベッドの上でマウントポジションをとっているんだ?」
「確実に仕留める為です。だから避けないで下さい」
確かにロルグ目線で言わせれば朝這いと思うかもしれないが、第三者目線で言わせてもらうと、二枚目となる珍妙絵図のスクリーンカットの完成としか言い様の無い。
もちろん、この会話のやり取りの間も、エルールの拳はベッドに風穴を空け続けていた。
☆
「さて……と、メシも済んだし、昨日の話の続きを聞かせてもらおうか」
ここは、ロルグが普段御用達にしている庶民食堂。部屋の隅や天井のあちこちにある蜘蛛の巣は御愛嬌であるが、その安さ故に沢山の人が足を運ぶ――そんな店である。
先程までの第一次ベッド合戦を沈めたロルグは、丁度昼飯時であったこともあり、エルールを宿屋から連れ出したのだ。
その時、宿屋のおやじがニヤニヤしながら「先程はお楽しみだったようで」と言ってきた。それに対し、ロルグは宿屋のおやじに一泊代より少し多めのお金を渡しながら「まあな」と答えたのであった。
宿屋のおやじは、喜び混じりに驚いた様子だったが、後で部屋を確認した時、その顔が凍り付く様は容易に想像できるだろう。
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