第一話「GET READY!」

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  「ん……なんだ? 夜這いならぬ朝這いか?」 「いいえ、鉄拳制裁です。因みに今はお昼です」 「じゃぁ、何故ベッドの上でマウントポジションをとっているんだ?」 「確実に仕留める為です。だから避けないで下さい」  確かにロルグ目線で言わせれば朝這いと思うかもしれないが、第三者目線で言わせてもらうと、二枚目となる珍妙絵図のスクリーンカットの完成としか言い様の無い。  もちろん、この会話のやり取りの間も、エルールの拳はベッドに風穴を空け続けていた。     ☆ 「さて……と、メシも済んだし、昨日の話の続きを聞かせてもらおうか」  ここは、ロルグが普段御用達にしている庶民食堂。部屋の隅や天井のあちこちにある蜘蛛の巣は御愛嬌であるが、その安さ故に沢山の人が足を運ぶ――そんな店である。  先程までの第一次ベッド合戦を沈めたロルグは、丁度昼飯時であったこともあり、エルールを宿屋から連れ出したのだ。  その時、宿屋のおやじがニヤニヤしながら「先程はお楽しみだったようで」と言ってきた。それに対し、ロルグは宿屋のおやじに一泊代より少し多めのお金を渡しながら「まあな」と答えたのであった。  宿屋のおやじは、喜び混じりに驚いた様子だったが、後で部屋を確認した時、その顔が凍り付く様は容易に想像できるだろう。  
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