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「何故、こんな“か弱い”乙女があの追跡を出来るのか……ですよね?」
「ああ。だが、さっきの“勇ましい”パンチの連打を見たら、なんとなく納得できたけどな」
話を戻してエルールが話を切り出す。何故か『か弱い』を強調していたので、ロルグもそれに対して、『勇ましい』を強調して対応した。
「何故、私がロルグさんの後を的確に追えたかというと、私は『おっかけ』の中でも追跡(チェイス)担当なんです。なので、ロルグさんの動きに付いて行けたのです」
「追跡担当? ってことは、他にも何かあるってことか?」
「はい。ロルグさんも気付いていると思いますが、あの間延びした喋り方の“アホ”な娘にも、ちゃんと役割があります」
そこで一区切りしたエルールは水の入ったコップを口に運んで一息。その間にロルグは、昨日出会ったしきりに握手を求めていた少女を思い浮かべる。
その時、思い出した事が一つ。
(そーいえば、握手してなかったな)
なんて回想に耽っていたロルグだったが、エルールが再び説明をし始めたので頭の中を切り換える。
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