第一話「GET READY!」

9/21
前へ
/38ページ
次へ
  「は、はは……。全く、完敗だよ……勇者さんよ」  ハンターズランク……それは、年に一度だけ更新され、依頼を達成した時に貰えるギルドポイント(貢献度)の多さを順位付けで示したものである。  だが、ハンター(ギルドで働く者)達があまりにも多過ぎる為、掲示される名前は上位百名となっており、それ以下の者はカウンターに行って調べなければならない。  そしてハンター達は毎年、自分がどの順位(ランク)であるかによって、一喜一憂する。  無論、順位が高ければ高い者程、周りからの注目(マーク)も厳しくなる。 「おい、クリストロアーズの奴、また差を付けやがったぜ?」 「でも、ロルグはまた差を縮めているぞ!」 「このペースで行けば十年もしないうちに追い越すぞ、これは!」  張紙を見ている男達が騒ぎだす。確かにこの二人は異常なまでに、他のハンター達よりもギルドポイントを稼いでる。おそらく、この二人は全世界で最も注目を浴びているであろう。 「へっ、あと十年ねぇ……俺はそんなに待てないんだがな」  ロルグは人集りから離れて、独り呟く。現実は、ロルグが予想していた程甘くはない。そうと分かっているのだけれど、何処か現実を否定する自分がいる。  そんな自分に自己嫌悪しながらも、ただただ現実を受け止めるしかなかったロルグだった。  
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加