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「は、はは……。全く、完敗だよ……勇者さんよ」
ハンターズランク……それは、年に一度だけ更新され、依頼を達成した時に貰えるギルドポイント(貢献度)の多さを順位付けで示したものである。
だが、ハンター(ギルドで働く者)達があまりにも多過ぎる為、掲示される名前は上位百名となっており、それ以下の者はカウンターに行って調べなければならない。
そしてハンター達は毎年、自分がどの順位(ランク)であるかによって、一喜一憂する。
無論、順位が高ければ高い者程、周りからの注目(マーク)も厳しくなる。
「おい、クリストロアーズの奴、また差を付けやがったぜ?」
「でも、ロルグはまた差を縮めているぞ!」
「このペースで行けば十年もしないうちに追い越すぞ、これは!」
張紙を見ている男達が騒ぎだす。確かにこの二人は異常なまでに、他のハンター達よりもギルドポイントを稼いでる。おそらく、この二人は全世界で最も注目を浴びているであろう。
「へっ、あと十年ねぇ……俺はそんなに待てないんだがな」
ロルグは人集りから離れて、独り呟く。現実は、ロルグが予想していた程甘くはない。そうと分かっているのだけれど、何処か現実を否定する自分がいる。
そんな自分に自己嫌悪しながらも、ただただ現実を受け止めるしかなかったロルグだった。
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