届け物

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午後になり、急に空が暗くなってきた。この天候は怪しいなと思った矢先、ポツリポツリと雨が降り出してきた。 急いで自宅への道に方向転換する。雨脚は次第に強さを増してきた。このまま雨に打たれていては風邪を引いてしまいかねないので、途中で見つけた比較的大きな公園の屋根つきのベンチで雨宿りをすることにした。 美羽はゴムで縛った髪を解くと、犬みたいにぶるぶると頭を振った。俺は鞄からカッターシャツを取り出し、美羽の頭と身体を拭いてやった。 雨の止む気配はなかった。ついには雷まで鳴り出して、酷くなる一方である。疲れていたのか、美羽は寝息を立て、俺に寄り添い眠ってしまった。 雷鳴に混じり、ケータイの着信音が響いた。ポケットから取り出して、新着メールを確認する。送信者のアドレスに身に覚えがないが、メールを開けてみた。 件名―― エスケープ参加登録の完了。 本文―― このたびは、エスケープへ参加していただき、ありがとうございます。仲西疾風様の参加登録が完了致しました。参加者IDは092になります。 本日、銃とサバイバルナイフを配送致しました。明日の午後にはお届けすることができるかと思いますので、必ずご本人様が受け取ってください。
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