届け物

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ケータイを閉じてポケットに戻した。どうしてか急に怖くなってきた。銃器を、サバイバルナイフを扱うこと、そしてもしかすると、人を殺めることになるかもしれない現実に俺は臆している。 俺に本当に人を殺すことができるのだろうか? そんなことを考えていると、微かに手が震えていることに気付いた。 妹を、美羽を守るのだ、俺にしかできないんだ、と自分に強く言い聞かす。自分のためじゃない、美羽のためならと覚悟を決めればきっとできる。だからやるしかない。俺は可愛い寝息を立てる妹を優しく撫でた。 通り雨だったのか、雷が遠退いていくの同時に、雨脚も弱まっていった。 家に帰り、美羽は終始俺にべったりくっついていたので、母の暴行を受けることはなかった。唐突な怒りのやり場をなくした母は、コップやお皿などを、壁に投げつけて興奮していた。俺は美羽をしっかり抱きしめ、美羽は俺の胸の中で両耳を塞ぎながらガタガタと震えていた。 次の日、美羽を送り出した俺は、再びベッドに戻った。母と学校には、体調不良で欠席するといってある。 午後一時過ぎに、玄関のチャイムが鳴った。階下で母が動く気配があったので、俺は慌てて飛び起き母よりも先に玄関に立った。
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