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「あ、あの」
男の背中に声をかけると、ゆっくり振り返った。
「お金のほうは」
「結構です。これは参加者に提供するものでありますから」
「そうですか。あなたはエスケープ関係者ですよね? このゲームは誰が主催しているんですか?」
「それにはお答えすることができません」
「どうしてです」
「私の任務はそれを届けることです。それに主より、安易にエスケープのことを口外することは禁じられています。参加者とて例外ではありません」
「けど気になるんです。こんな法外なことをしてるのは誰なのか」
俺は食いついた。なんとしても聞き出したかった。
「あまりにもしつこいようでしたら、私はあなたをゲームから退場させることになってしまいますが」
男はやんわりとした口調だったが、スーツの懐に伸ばした手からは恐ろしいものを覗かせていた。黒い鉄の塊。拳銃だ。それを見た瞬間、俺は背筋が寒くなり閉口した。男は俺に背を向けると、歩き去っていった。
自室に駆け込み早速、段ボール箱を開封すると、銃とサバイバルナイフ、それに紙が一枚入っていた。銃はリボルバー式だった。弾はまだ装填されていないらしく、袋に六発だけ入っていた。銃を持ってみると、重く、片手でスタンド電気に狙いを定めてみたが、腕が震えて標準がぶれるばかりだった。
次に紙を広げて見る。
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