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「降りたよ~!」
「わかった~すぐ行く~!」
惣一郎もロープを伝い降り始めた。
スルスル…
惣一郎は意外にすんなりと降りた。
「あちち…」
が、手が滑っただけだった…。
「大丈夫?」
「あぁ…とにかく早く出よう…」
「うん…」
そして、ホテルの出口に向かう2人…
ガラスのない動かない自動ドアをくぐり…
2人は外に出た。
「え~と…公園は…あっちだね…急ごう」
橘は走り出した。
「橘!走りったら危ないって周り瓦礫だらけだし…」
「大丈夫よ!急がないと皆が心配するから…」
…ミシッ…
小さな音が惣一郎に微かに聞こえた。
…ミシミシッ…
また、聞こえた。
…キーッ…
惣一郎は上を見上げた。
「た、橘ぁ!!!」
惣一郎は走り出した。
「えっ…何…っ」
そして、橘はに飛び付き倒れ込んだ。
「…小林君…待っ…ここ…」
ド?ン!ガシャーン!!
「えっ?何?」
橘の頭上にあったホテルの看板が落ちて来た。
「…橘…怪我は…ないか?」
「…えっ?あ…うん…あ…ありがとう…」
「とにかく、危ないからゆっくり気をつけて行こう…」
「う…ん」
惣一郎が立ち上がろうとした。その時…
「ぃつっ…」
「小林くん?」
惣一郎は痛みで足を押さえた。
右足首に看板の破片で怪我をして、血が出ていた。
「小林君!怪我…」
『しまった…最近、力に慣れたから無意識でもすぐに治るぞ…』
「いや…これは対した事ないから…」
「そんなわけないでしょ!止血しなきゃ…ハンカチを裂いて縛れば…」
橘はハンカチを取り出し、惣一郎のズボンの裾を捲くりあげた。
「スゴイ傷…せめて傷口洗えたらいいんだけど…」
橘はハンカチを引き裂き始めた。
「これで、縛れば…えっ…傷が…」
「……」
10センチはあったであろう傷は、1センチ程度まで塞がっていた。
「え…?…嘘…傷が…なんで…そんな…」
傷は完全に無くなった。
「橘…聞いてくれないか…」
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