36人が本棚に入れています
本棚に追加
「…俺は…怪我の治りが早いんだ…」
「…まって…まってよ…早いなんてレベルじゃ…」
橘は困惑している。
「うちの家系は、皆なんらかの超能力が使えるんだ…
俺の場合は治癒力が高いって力で…」
「…皆?お姉さんも?治癒力が高いって超能力なの?
もっと…なんか…手を使わないで物動かしたり…そうゆうのじゃないの?」
「母さんの力はそれだよ。
姉ちゃんは壁抜けが出来る。」
「壁抜け…?って…縄じゃなくて…?」
「手品じゃないんだから;
そのままだよ…壁をすり抜けるんだ。」
そう言いながら、惣一郎は立ち上がった。
「さぁ…行こう…皆待ってるから…」
惣一郎は、困惑し座り込んでる橘に手を差し出した。
「ヒッ……あ…」
橘は思わず声をあげてしまった。
「…あ…あの…ゴメンなさい…私…そんなつもりじゃ…」
「大丈夫…わかってるよ…」
「あの…本当に…違うの…驚いただけで…」
「わかったから…気にしてないから…はやく…行こう…1人で居ても危ないし…皆も心配するから…」
そして、2人は無言で歩き始めた。
「ねぇ…」
沈黙を破ったのは橘からだった。
「何?」
「…前に私が蹴ったあの時って肋骨…」
「…しっかり折れてたよ…」
「…あ…あの…ゴメンなさい…」
「別にいいよ。勘違いだったんだし…」
「でも…」
「俺もさぁ…無傷を装うしかなかったんだから気にしなくていいよ」
「…怪我したら…痛いの?」
「痛いよ…他の人と同じかわからないけどね…」
「…ゴメン…」
「だから、気にしなくていいよ。
それに、あれで橘と仲良くなれたんだから…」
「…そうだけど…」
「なぁ橘…」
「何?」
「正直に答えて欲しいんだけど…」
「…うん」
「実は、目覚めた時は腕がちぎれてたんだ…」
「え?」
「俺の力…怖いか?」
最初のコメントを投稿しよう!