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「けて…た…け…」
後ろから微かに声がした。
「だっ誰か居ますか?」
惣一郎は声がする方に向かった。
「…惣…た……て…」
「下から声が聞こえる…」
「隆夫か?ヒロなのか?大丈夫か?」
「…た…お…だ」
「隆夫なのか?ヒロは?」
惣一郎はしゃがんで耳を済ませた。
「ヒロも一緒…」
「待ってろよ!今助けるから!!」
惣一郎は瓦礫を崩れないように退かした。
その作業を繰り返して30分程すると、ベッドが出て来た。
「隆夫!ベッドの下なのか?」
「あぁ~瓦礫が邪魔で…出られない…」
「待ってろよ!ヒロはどうした?さっきから声がしないぞ?」
「怪我はない…叫び過ぎて声がかれてるみたいだ…」
「叫び過ぎ?」
「少し揺れたあと、俺はヒロにベッドの下に引っ張り込まれた…
その後、意識無くして俺が気付い時には、ガラガラの声でお前を呼んでたんだ…」
「そうか…とにかく2人とも怪我はないんだな?」
「ない…大丈夫だ」
「わかった…もう少し待ってくれ…」
『ベッドが2人を瓦礫から護ったんだな…
怪我からして、俺は瓦礫が直撃しまくりって事か…
やっぱりこの力なかったらが死んでたな…あれは…
ヒロはとっさに近くに居た隆夫を助けたけど、離れ過ぎてた俺はムリだった…
ずっと無事を確認してくれてたってことか…
声が枯れるまで…』
それから10分程だろうか…
瓦礫が大分片付き、隙間が出来た。
「おい、大丈夫か?出られそうか?」
「大丈夫だけど、まだ狭いな…足元の瓦礫どかしてくれ…」
「あ、あぁ…わかった…」
惣一郎が退かす瓦礫の一部にはわずかに血がついていた。
しかし、惣一郎の手の平に傷はなかった。
「どうだ?出れないか?」
「待てよ…いけると思う…引っ張ってくれ」
「わかった、いくぞ」
惣一郎はベッドの下に手を入れて、服を掴み横に引っ張った。
「イテテ…よし、あとは大丈夫だ…」
上半身が出た所で隆夫は身体をよじって、出て来た。
「ヒロ~もう少しこっち寄ってくれ…」
「…わがっだ…」
かすれたガラガラ声で答えた…
隆夫がヒロを引っ張り、ヒロも脱出出来た。
「なんだよ…コレ…」
辺りを見た、隆夫が呆然としている…
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