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「よし、ちょっと遅れてるから飛ばすよ?」
僕と有紀の鞄を籠に入れて僕を振り向いて言う。
「わかったから早く進め」
「うん。しっかり捕まっててね」
捕まっててって…肩に手を置くだけなんだが。
有紀は優しい。
僕が何をしても有紀は怒らない。
頭もよくて、運動もできて、かっこよくて、優しい。
正直、僕にはもったいないと思う。
そんなネガティブなことを考えていたらいつの間にか学校のすぐ近くまで来ていた。
校門には何十人もの男子生徒が毎日有紀を待ち構えている。
僕達の通っている学校は男子校。
ホモやらバイやらがほとんどだ。
だから当然カッコイイ有紀は人気があるわけで。
「キャーッ有紀様ぁ!」
「カッコイイィィ!!」
「きれーっ!!」
……あまり気分は良くない。
自転車置場につき、有紀の後ろから降りる。
「はぁ…」
溜息が出る。
有紀は僕のなのに。
胸のあたりがモヤモヤする。
「りゅう…」
有紀が僕の名前を呼んだと同時にぎゅっと僕を抱きしめた。
「ちょ、離せっ」
こんな人がいっぱいいるとこでっ…
「大丈夫。りゅうが一番可愛いし、俺はりゅうが一番好きだから」
あぁ、何でこいつは…
僕が言ってほしいことを言ってほしいときに……
「りゅう…好き」
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