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「…」
「やっぱり…死ぬのは怖いな。
足がすくんじまってうまく逃げらんなかったよ…
言い訳んなるが…
浅尾の言うとおりだよ。
俺は…生きたい…!」
無理やり笑顔を作り言う勝倉。
その言葉は言い訳になんて聞こえなかった。
「本家と構えるんですか。」
「いや…構えたいが、勝ち目はない。
逃げるしかないんだ。」
それは勝倉の言うとおりだ。
例えここで本家からの鉄砲玉を全員殺しても、300からなる釜石に対し勝ち目はない。
勝倉の所属する駿河佐山だって若頭の陰謀により、頼ることは出来ない。
逃げるのが一番賢明だろう。
「展開が早いが仕方ないな…
浅尾、世話んなったな。
どこに逃げるかは言えんが、足洗って真っ当に生きることにする。
浅尾は俺にとって命の恩人だ。
落ち着いたら連絡するからな…」
勝倉はそう言うと、貴重品を不便そうにセカンドバックに詰め始めた。
「勝倉さん、短い間でしたが…
楽しかったです。
お元気で…」
勝倉は背中を向けたまま部屋を出て行った。
「おう…」
良かった…
勝倉は、死なずに済んだ―
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