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―その筈だった。
勝倉が部屋から出て行った数十秒後、後ろ姿も見えなくなった頃に銃声が響いた。
「…」
一瞬何が起きたかわからず、ただその音が耳に響く。
しかしその直後、体は勝手に走り出していた。
階段を飛び降り、静かな道路に出る。
そこにあったのは、コンクリートに横たわる勝倉。
脇腹辺りか頭部からかわからない程血が広がっている。
犯人の姿はない。
「なんで…」
無意識に口から言葉が発せられる。
「この遺体持って帰りゃ…
手柄なんだろ…
なんで逃げんだよ…
犯人出て来いよ!!!」
静かな夜の住宅街に、怒鳴り声は虚しく響き渡った―
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