九死に一生を

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気付けば俺は警察に連行され取調室にいた。 住宅街なだけあり、野次馬の1人が通報したらしい。 10分も経たずして数台のパトカーがやって来たのだ。 「あんた、もう帰っていいよ」 俺はその晩、日付が変わった頃には釈放された。 最初は理由がわからず証拠不十分か何かだと思ったが、警察にはいわゆる捜査四課…いわゆるマル暴がある。 暴力団専門なら、新宿の釜石とその三次組織との抗争の火種が勝倉だってことぐらい知っていただろう。 そこで俺の経歴を洗い釜石や駿河佐山、そして勝倉との関係を調べあげたのだ。 俺と関係あったのは勝倉のみ、接点は隣人というだけ。 銃声を聞きかけつけたら隣人が死んでいた…だからその場で崩れた。 俺は取調中何も言わなかったが、向こうでそう判断してくれたようだ。 そして釈放された俺は、知らぬ間に涙を流していた。
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