第2章

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和室に座り、びくびくとした表情を浮かべる少女。 その前に、凛が正座し座る。 香椎と昴は離れて待機していた。 「あの、私は瑠璃といいます」 「瑠璃ちゃんかあ、名前もかわいい…あ痛っ」 壁から解放された朔が呟きかけて、昴におもいきりつねられる。 凛はあきれた様に朔を見ると、再び瑠璃に向き直った。 「さて、どんな用件じゃな」 「あの、私の弟の事なんです」 香椎がぴくりと肩をふるわせる。 「弟さん?」 「はい、妖にとりつかれているみたいなんです。誰も信じてくれなくて」 「して、その根拠は?」 瑠璃はやや迷ったのか、言葉をつまらせる。 だが、凛の問いにゆっくりと口を開いた。 「無いんです。弟の足元に影が」 皆は同時に互いの顔を見た。
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