6398人が本棚に入れています
本棚に追加
「三日前から、何故か弟の様子がおかしくて。夜中にこそこそと家を抜け出してるようなんです」
「夜中に家を?どこにいってる?」
「わかりません。私も怖くてついていけないんです。ただ、弟がおかしくなってから弟の足元の影が見えないんです。両親やまわりの人は全く気付かないんですけど」
「影がなくなったら普通気づかない?」
「それが全然、まるで何かに術をかけられているみたいに」
凛はふむ、と顎に手をのせる。
「香椎」
いきなり名を呼ばれ、香椎が顔をあげた。
「瑠璃と共にその弟に会ってくるんじゃ。影がない原因、調べてこい」
「え?しいちゃんだけ?」
朔が不思議そうに声をあげる。
「任せてよいか?」
「……わかった」
香椎は凛を見つめながら、短く答えた。
最初のコメントを投稿しよう!