第2章

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「三日前から、何故か弟の様子がおかしくて。夜中にこそこそと家を抜け出してるようなんです」 「夜中に家を?どこにいってる?」 「わかりません。私も怖くてついていけないんです。ただ、弟がおかしくなってから弟の足元の影が見えないんです。両親やまわりの人は全く気付かないんですけど」 「影がなくなったら普通気づかない?」 「それが全然、まるで何かに術をかけられているみたいに」 凛はふむ、と顎に手をのせる。 「香椎」 いきなり名を呼ばれ、香椎が顔をあげた。 「瑠璃と共にその弟に会ってくるんじゃ。影がない原因、調べてこい」 「え?しいちゃんだけ?」 朔が不思議そうに声をあげる。 「任せてよいか?」 「……わかった」 香椎は凛を見つめながら、短く答えた。
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