第14章

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「香椎はいるか」 月の暖簾をくぐり、誰かが店先から香椎を呼ぶ。 奥にいた香椎は、書き物を止めて顔をあげた。 店先には、気難しい顔をした赤い髪の男。 「大和さん」 奥から出てきた香椎は、その名を呼ぶ。 大和は黙ったまま、香椎に向けてなにかを差し出した。 それは一通の手紙。 綺麗に折り畳まれたその手紙の上には、真っ白い百合の花がそえられている。 「…」 「かの方が、お召しだ」
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