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「しいちゃんさあ。十歳の自分の誕生日の時に、妖に家族を殺されたんだよ」
「殺された?!」
昴が思わず身を乗り出す。
「うん、しいちゃんも深手を負ったけど助かったんだよ。でもそんときにしいちゃんとひとつ違いの弟が、妖にさらわれたんだ」
朔はすこし悲しげに目を伏せた。
「それからりんちゃんに拾われたんだっけ」
「…まあな」
凛は縁側に進み出て、空を見る。
「香椎は、弟を探すためにアヤカシオクリとして戦ってる。いつか弟をさらった妖を見つけるために」
昴も、朔も黙ったまま凛の背中を見つめていた。
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