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香椎は瑠璃に連れられて、街中の旧家に来ていた。
「こちらが、私の家です。弟は一人で離れで暮らしてます」
「離れで?何故」
瑠璃はその問いに、やや睫毛を伏せる。
「…弟は父の先妻の子なんです。
先妻と別れてから今の母と結婚しました。私は今の母の連れ子なんです。
…弟は母と折り合いが悪くて。母を嫌ってここに住んでるんです」
瑠璃は香椎を敷地内に案内する。
大きな建物の隅にポツンと小さな家屋があった。
「ゆう」
瑠璃は家屋の扉をトントンと叩く。
しばらくして、木の引き戸がガラリと引き開けられた。
「…何?瑠璃」
瑠璃より少し幼げな少年が、隙間から顔を覗かせた。
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