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『ちっ』
妖怪は小さく唸り声をあげると、逃げるように昴から離れ、石畳の上を走る。
「逃がしませんっ」
昴は素早く石畳に飛び降りると、アヤカシの後を追う。
しかしアヤカシは脱兎のごとく四つん這いで路地を駆け抜けていく。
「…あっちはまずいんだってば!」
昴はちっと舌打ちをしながら追いかける。
あっちには。
あの二人がいる。
「もーっ!また役立たずって朔に言われちゃうじゃないかっ!」
昴は焦りの表情を浮かべながら叫んだ。
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