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「先ほども言ったように、ゆうは父の先妻の子で、母はあまりよくは思っていませんでした」
手入れのされた庭園を歩きながら、瑠璃はぽつりぽつりと語り出す。
「ゆうは母に、執拗にいじめられ、時には顔が赤くなるほどぶたれた時もありました。私はそんなゆうを必死でかばい続けていたのですが…」
そこで、瑠璃の足がぴたりと止まる。
先を歩いていたためその顔は香椎には見えないが、その肩はかすかに震えていた。
「…瑠璃さん?」
「ある夜…いつものようにいじめられ、あの家に引きこもっていたゆうに薬を届けるために、私はこっそり家を抜け出したんです。
戸の前で中から誰かの話し声に気づいた私は…こっそりと隙間から中を覗きました」
瑠璃は、だんだんと声を震わせながら香椎に語る。
まるで、次の言葉を出したくないように香椎には思えた。
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