第2章

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「戸の隙間から覗いた私は、自分の目を疑いました。 暗い室内。小さな布団の中にいたのは。 幼いゆうと、自分の母でした」 母と弟の見てはいけない禁断。 しかも母は幼い弟を虐待していたのに。 その裏で弟を求めていたなんて。 「私は…思わずその場から立ち去ろうとして、ふと気づいたんです。 母に抱かれたゆうが、じっとこちらを見ていた事に。 私は逃げ出しました。すべてから、ゆうから。 私は…卑怯なんですよ。ゆうがああなってしまった原因の一つは、私にもあるんです」 そういって瑠璃は苦笑いを浮かべる。 しかしその目は全く笑ってはいなかった。
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