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「とりあえず、影は確認できなかった。残るは夜に張り込んで尾行するしか…」
香椎は顎に手をあて考え込む。
「ひとつだけ。帰ってきた次の日のゆう。かすかに花の香りがするんです」
「花?」
聞き返す香椎に、瑠璃はこくりとうなずき返す。
「なんの花かはわかりませんが。毎回同じ香りなんです。まるで女性の香水のような」
「香水か…」
香椎はしばらく考えると、くるりと瑠璃に背を向ける。
「あ、あの」
引き留めようとする瑠璃に、香椎は顔だけを瑠璃に向ける。
「心配するな。ちょっと調べてくる。また夜に連絡するから」
それだけを伝え、香椎は急ぐように屋敷を飛び出した。
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