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角を曲がった所で妖怪は足を止める。
月明かりに立つ二つの影。
「あはは~予測当たり。やっぱりこうちゃんは役立たず~」
朔が面白がる様に追い付いてきた昴にいい放つ。
「ちっ、ちゃんと誘導してきたじゃないですか!」
後ろから追いかけてきた昴がムカッとしたように朔に叫んだ。
「ダメダーメ。どうせやるなら徹底的にしなきゃね」
朔は口元でニヤリと笑いその細い指を二本、唇の前に立てると短い真言を唱えた。
ビリっと静電気が走るように、アヤカシが身体を仰け反らせる。
『動けないっ?!』
「はい、まずは足止めの罠だぞ♪」
妖怪の四方に貼られたお札がぼんやりと光をはなつ。
『…結界か!』
「ぴんぽーん」
朔はアヤカシの問いに答えると懐から数枚の札を取り出す。
その札に朔がふっと息を吹き掛けると、札達はその姿を変化させた。
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