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「じゃあ行くか」
私が髪を整え終えたタイミングで智久君が私に声を掛けた。
「えっ、でも智久君まだ顔洗ってないんじゃ?」
「台所で洗った。
だから行くぞ?」
「う、うん」
鞄を持って玄関に向かう智久君に急いで着いて行く。
……はあ、やっぱり智久君私に気を遣ってたんだな……
自分の無神経さに嫌気がさしてきた。
うん、次からもっと周りを見れるようにしよう!
そして智久君になるべく迷惑をかけないようにする!
決意を込めて小さくガッツポーズをしてから、智久君に並んで歩き始めた。
「なあ、なんでさっきガッツポーズしてたんだ?」
「新たな決意に奮闘する為です!」
「?まあ、頑張れ……」
「それよりさ、今日のおかずに卵焼き入れられなかったんだよね~」
「えっ?入ってたじゃん?すげえ美味そうなのがさ」
……あれ?
私卵焼き作れなかったような……
……というか……
「見たの!?いつの間に!?」
「岸本が髪整えてる間に。
てか、あれ岸本が作ったんじゃないのか?」
「……わ、私だよ!久しぶりに上手にできたから隠しておこうと思って!」
「ふーん、そりゃ楽しみだな…」
智久君は私を見て意地悪そうに笑った。
お母さん、いつの間にあなたは入れたんですか……?
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