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「おじゃましまーす」
一応一言言ってから、私は智久君の家に入った。
「ほらタオル、洗面所はそこだからな」
リビングに着くと、智久君が早速タオルを貸してくれた。
こういう何気ない優しさってグッとくるよね?
そんな事を考えながら洗面所に向かい、櫛を取り出して髪を整える。
あわわ、髪が長いとやっぱ大変だなぁ……
そろそろ思い切ってばっさり切ろうかな……
「大変そうだな」
「ふぇ?」
突然、背後から智久君の声がした。
「あっゴメン、洗面所使う?」
「大丈夫。岸本の様子見に来ただけだから」
「そ、そっか!」
智久君はそう言ってくれたけど、ホントは顔洗ったりしたいんだろうな……
よし、早く終わらそ!
登下校くらいゆっくり話したいもん!
「俺、岸本の髪好きだなぁ」
「……えっ……?」
「清潔感あって、繊細そうですげえ綺麗だもん」
顔は見えないけど、智久君が笑顔で言ってくれてるのが目に浮かぶ。
……智久君は、自分の言葉がどんなに影響あるかなんて考えてないんだろうな……
そんな事言われたら私、髪切れないよ……
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