始まりの冬

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たった一度の裏切り…… その重さが大きな意味を持った。 きっと俺が恋愛感情を持つ事は二度とないんだろうな…… 始業式…… 俺の中では一番欝陶しい式だ。 校長が、休みでの素行や生活態度に批判をし、学校の教育理念を語り出す…… ……まったく……さっさと無駄である事に気付けよ…… 俺はただ、体育館の寒さに身体を震わせるばかりだった。 「ああさみぃ……」 「ホントに智久は寒がりだね」 長かった始業式を終え、教室に帰る途中、巧と並んで歩いていた。 「うるせえよ、寒いもんはしゃあねえだろが……だいたい巧は暑がりじゃねえか」 「いいもんね、寒がりの智久よりはマシだよ」 「何を?寒がりは何枚も服着てカバーできるが、暑がりは何もできねえだろ?」 「プールに行けばいいじゃん、そうでなくても水分補給を適度にすれば問題無いじゃん!」 ……俺は何をしてるんだ? 結局、暑がりの方が大丈夫という結論になり、教室に着く事になった。 こういう時の巧の言葉押しの強さには、毎度感服してしまうものがあった。
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