フェンス

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「死ぬ…僕は死ぬぞ…死ぬ!!」 見てお分かり頂けるだろう。 一人の男が今まさに、死のうとしている。 初夏の風は少し湿っぽく、それでいて爽やかだ。 昼間にさんざん加熱されたビル郡は夜でも暑いが、この湿った風が心地よさを運んでいた。 こんなに気持ちのいい夜なのに、一人の男が今まさに死のうとしている。 自殺…。 彼は今、ビルの屋上。 フェンスの内側にいた。
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