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辺りを見渡すとズゥの姿がないことに気がついた。ついさっきまでは一緒にいたのだが。
フレイとメイは立ち上がりズゥを探し始めた。だが、程なくズゥは見つかった。噴水を挟んで二人の座っているベンチの反対側に誰かと一緒に座っている。
「ズゥったら、勝手に動いて」
二人は急いで反対側のベンチに向かった。
ズゥは杖を持った老人と親しげに何かを話していた。
「こらズゥ!勝手に動かないでっていつも言ってるでしょう?」
早速メイの一喝。しかし、ズゥは全く反省している様子はなく、むしろ何か喜んでいるようだった。
「坊やの連れかい?」
「そうだよ。コーコガクシャのフレイとメイねえちゃん。それからズゥだよ」
ズゥは簡単に自分達の自己紹介をした。
「私達の連れがご迷惑をおかけしてすみません」
メイはズゥを自分のほうへ引き寄せ、頭を深々と下げた。頭を下げないズゥに気付くとメイは無理矢理頭を下げさせた。
「かまわんよ」
老人は杖を使ってベンチから立ち上がり、ゆっくり歩き去ろうとしていた。腰はすっかり曲がり、辛うじて前が見えるような状態だ。
「もし」
今まで黙っていたフレイがようやく口を開いた。
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