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「どこかで少し休もう。クロムっていう人を探すのは明日にしようか」
三人分の荷物を軽々持ち上げたフレイが言った。大丈夫とは言ったものの、やはり具合が悪そうなメイを無理に動かすことはしたくない。
どこか休める場所を探して、三人は岸辺に設けられたベンチに座った。ズゥはずっとメイの隣にいて、背中をさすっていた。
「じゃあ、私は宿を探して来るから。二人共私が戻るまでここを動かないんだよ?」
フレイは荷物と二人を置いてどこかへと歩き去った。
残された二人は目の前に広がる湖を眺めていた。二人共以前海を見たことがあるが、湖は湖なりの良いところがある。海と違って湖は塩の匂いがしない。フレイは淡水だからだと言っていたが、淡水が何なのか二人にはよくわからない。
「メイ……ごめんなさい。ズゥ、ふねではしゃいだから…………ごめんなさい」
ズゥはメイが具合悪くなったのは自分のせいだと理解しているようだった。
「もういいよ。でも、今度からは静かにしてね?」
「うん」
泣き出しそうなくらい心配した顔を緩め少年は笑顔を見せた。
しばらく経って、メイの具合もだいぶ良くなった頃フレイが戻って来た。今日泊まる宿が見つかったようだ。ここ数日野宿生活をしていたからメイは久しぶりに風呂に入れるといつもの元気を取り戻した。
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