語り部

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翌日。 さすがは涙の都・アクリア。天気は雨だった。町を行き交う人々は皆、傘や雨具を着ている。三人も雨具を着て、早速クロムという人物を探しに出掛けた。行き交う人々にクロムのことを尋ねると名前は皆知っている。だが、居場所を尋ねると皆首を傾げた。ある者は図書館の入口に上る階段に座っていたという。しかし、またある者は教会で祈りを捧げていたという。他にもいろいろあるが、皆言うことがばらばらでクロムの居場所はわからないままだった。定住している家がなく、アクリアの町を点々としているらしく見つけ出すのは困難なようだ。 疲れ切った三人は公園のベンチで休んでいた。 「わかったことと言えば、すっかり腰が曲がって杖を使っている老人ということだけ。見かけたっていう場所も一通り見たけど、それらしい人はいなかったし……さて、どうしたものかな……」 「とりあえずもう一度図書館に行って、伝説について調べませんか?」 「う~ん……できれば、クロムっていう老人から直接聞きたいな。…………あれ?そういえばズゥは?」
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