月明かりの下で紅きは揺れて

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「ところで、何でここに居んだ?ただ奈緒の様子を見たからだけではないだろ。」                       今更ながら、と麻由理は思うが、この男は妙に感が鋭い。                   僅かな変化でも感であっさりと見抜いてしまう、罠などがあった時もそうだった。                       とにかく鋭すぎるその感は、もはや感で納まらない気がしていた。               「鋭いことで、聞きたいのはあれ、“鍵”の事よ、今私達側に二つ、長老派に三つ“鍵”が手中にあるのは知ってるわね?」                  「ああ、伊達に頭主は努めてねぇよ。」                          「それらをどう奪うつもり?  今は互いに牽制しあっている状態だけど、私が居ない間に攻められたらきついものがあるでしょう?」                             麻由理の言い分は最も、現在の頭主派と長老派の力のバランスは拮抗しあっている、それが麻由理が居なくなれば一気にバランスが傾くと言っていい。                      麻由理にはそれが心配なのだ、自分が居なくなることで味方が危険に晒されるかも知れないと言うことが。
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