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渦
すさまじい轟音に、もう何も聞こえないや。
耳ふさいだって同じ、目を閉じたってやっぱ同じ。
白く波が渦巻いている、どうらそこが行き着く場所。
僕の墓場、絶望の淵。
天使なんか、舞い降りない。
終焉、サヨナラ、もう光はない。
冷たい水の底で僕は窒息してくんだ。
伸ばした手だって、ほんとうに無意味で
体中殴られながら気を失ってく。
誰も助けてくれない、そんなの初めから分かってた。
どれだけ泣いたところですぐに奪われてくんだ。
届かない叫び声をいくら上げたって虚しいだけで
絶望を受け入れるしかないんだって気付いたら
もがく事すら馬鹿馬鹿しくなってきたよ。
渦に飲まれた、僕はもうなす術もない
体温をなくして心臓が止まるときを
濁流にばらばらにされる精神をかばいながら
待ってる…。
サヨナラ、もう光なんかない。
サヨナラ、あるのは絶望だけ。
サヨナラ、冷たい水の中で、最後に
サヨナラ、あなたの手のぬくもりが欲しかった。
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