海の風

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しばらく止まった時間は、マルセイユの言葉によって動き始めた。 「ねぇ・・・泣かないでシャラヌ」 少し強い海からの風が2人の間をかき乱す。 「・・・・は?」 からかい半分で言った言葉ではない。 振り向いたシャラヌの瞳を、かすかな町の光越しに見たとき。 彼の強く何者も撥ね付けるような光をもつ瞳の奥に、弱々しい哀しみの色を見た。  この瞳・・・・・ あたしは見たことがある。 いつだっけ・・・ いつ・・・?
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