海の風

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「なんだよそれ」 といって、シャラヌは笑った。 家出は本当だった。 マルセイユの生まれたルアン家は、落ちぶれたとはいっても、それなりの暮らしをしている貴族だ。 優しい姉が1人、妹が2人。 幸せな暮らしをしていた。 だが、成長するにつれ、ある夢を見るようになった。 その夢を見だしてからは、家を飛び出さずには居られない衝動にかられ、何度も家を飛び出すようになっていた。 ただ、きまって、夢の中身は覚えていない。 何かをみつけなければいけない衝動に駆られるだけだ。 それが、苦しくて堪らなかった。 「ねぇ・・シャラヌは?」
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