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「え?」
シャラヌが顔を上げた。
シャラヌの紅い瞳と、マルセイユの透き通りそうな茶色の瞳がぶつかる。
「なぜ?なぜあの船に叫んでたの・・?」
その問い掛けに、シャラヌは、目をそらして、少しの間を置き答えた。
「・・・僕の・・親友が・・乗ってるから・・」
「友達?船員なの?」
シャラヌは頷いた。
あれは海賊船だ。
親友がそれに乗っていると、今日会ったばかりのひとに告げてもいいのだろうか?
海賊に家族を殺された人間だって少なくないはずだ。
「あれ、あの船、海賊船?」
マルセイユが尋ねた。
知ってたのか。まあ分かるよな。
シャラヌが彼女を見つめる。
そして、答えた。
「・・・あぁ・・。そうだよ。海賊船、〈海の風〉」
「〈海の風〉?じゃ、からんできた、あのガラわるい人、海賊さん?」
シャラヌが頷くと、マルセイユは悔しそうな顔をした。
「~ん~!!しまった!〈海の風〉って、ランク高いから船員一人でも捕まえたらすごい賞金もらえたのに!!!・・・あっ!!」
マルセイユは慌てて口を押さえたあと、シャラヌに困ったような、泣きそうな顔で弁明した。
「ウソウソ!シャラヌの友達捕まえるなんてそんな真似しないわ!!!」
「いやいや!あれに乗ってるのが全員友達ってわけじゃないから!僕だって海賊は捕まえるべきだと思ってるし」
シャラヌは、マルセイユのあわてぶりが可愛くて、思わず笑った。
不思議だ。
シャラヌは思った。
この気持ちはなんだ??
懐かしい、胸の奥が焦げるような思い。
ずっと、彼女の隣にいたい。
勘違いかな・・?
会ったばかしだしな・・
勘違いだよな・・
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