プロローグ

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今から、10年前のこと。 僕は暗い籠の中にいたんだ。外から楽しそうな笑い声が聞こえてた。 「杏里ちゃん、お誕生日おめでとう」 「ありがとう、ママ」 籠が大きく揺れた。 僕は怖くなって、籠の中で暴れた。 「わぁ、動いたよ!ママ、これなぁに?」 「開けてごらん」 僕は勢いよくジャンプして、籠から飛び出した。 「きゃあっ!」 僕は布にくるまれて、また暴れた。 そして、大きな声で泣いた。 「にゃー!」 ジタバタしていると、やっと布から抜け出せた。 「猫だぁ!」 僕は急に抱きしめられた。 明るさに目が慣れてくると、目の前には可愛い女の子がいた。 これが、杏里ちゃんと僕の出会いだ。
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