5人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
今から、10年前のこと。
僕は暗い籠の中にいたんだ。外から楽しそうな笑い声が聞こえてた。
「杏里ちゃん、お誕生日おめでとう」
「ありがとう、ママ」
籠が大きく揺れた。
僕は怖くなって、籠の中で暴れた。
「わぁ、動いたよ!ママ、これなぁに?」
「開けてごらん」
僕は勢いよくジャンプして、籠から飛び出した。
「きゃあっ!」
僕は布にくるまれて、また暴れた。
そして、大きな声で泣いた。
「にゃー!」
ジタバタしていると、やっと布から抜け出せた。
「猫だぁ!」
僕は急に抱きしめられた。
明るさに目が慣れてくると、目の前には可愛い女の子がいた。
これが、杏里ちゃんと僕の出会いだ。
最初のコメントを投稿しよう!