レモ、いらっしゃい!

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兄貴とはケンカしたことがない。6歳も離れていれば、大人な対応をしてくれていたのだろう。むしろ、K少年のことを"ガキ"として扱っていたからこそかもしれない。 いずれにせよ仲良しな兄貴だし、昔から頭も良いし結構モテる人だった。だから僕にとってみれば憧れすらあった。 兄貴が家を出ていくとなると弟の面倒はK少年が一人でみることになるし、兄弟三人で仲良くやってきたのに淋しくなるなぁと心の中で思っていた。 ちょうどその頃、学校での友達関係も崩れ始めていた。 入学した頃から連んでいた友達と合わなくなってしまい、K少年はよく独りで行動するようになった。 今思ってみれば、何故連む必要があったのかわからない。 ただ、その時は連む友達もいなくなったことと兄貴が離れてしまうことが無性に淋しくていつもイライラしていた。 やがて3月の終わりを迎え、兄貴は笑顔で地元を離れた。 もうすぐ2年生になる、春のことだった。
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