優柔不断者

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気がつけば、いつもの踏切の前に立っていた。 ちょうどこの時間だろう。 今に電車がやってくるであろう。 この一歩を踏み出せば、僕はもう明日に歩けないだろう。 でも、いつもと同じで、これ以上は踏み出せないんです。 なんでなのかは、大体わかっているんだけれども。 踏み出すだけでいいのになぜか出来ないんです。 昨日だって死ぬとかほざいといて生きてるんです。 こんな自分を殺したいんです。 いつまでも誰かに甘えて、そのくせ他人のせいにして。 夢を潰されて泣いて、光りも照らさない部屋でじっとしていて。 泣いて、ただ泣いて・・・ また、気付けばいつもと同じ朝が来た。 小鳥のさえずりがうるさく聞こえるんです。 面倒だから二度寝して、また起きて。 ゲームして、また寝てその繰り返しで。 髪も伸びたから切りに行こうとか こんな事で迷ったりもしているんです。 でも他にも迷ったり悩んだりしているんです。 何が何だかわからなくなるんです。 イヤな事があったからって、グチこぼしたり、八つ当たりしたり。でもそんなの空しいでしょう。寂しいでしょう悲しいでしょう。 もう一度あの頃に戻れたらと思ったりねがったりして、それは当然の如く叶いはしないんです。 ふと誰かの呼ぶ声がした。そしてこう聞かれたんだ。 「生きる事と、死ぬ事なら君はどっちを選択する?制限時間はあと10秒、さあどっちを選ぶ?」 わかんない。どっちがいいのかわからないんです。 あっちだこっちだなんて自分の声が聞こえるんです。 でも、どれがホントなのかなんてわからなくて。 そっと胸に手をあててわかったんです。 今を生きる事を選んだんです。このままじゃ、 いけないとわかったからこそ暗い部屋からも出れたんです。 でも今でも迷っている僕は未だに「優柔不断者」 だけど迷うからこそ人間で、悩むからこそ成功するんです。 もう大丈夫でしょう。今からでも遅くはないよ、明日へ歩こう。
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