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授業が終わり皆、一斉に動き出した。
「じゃね―ばいばい!」
皆それぞれ荷物をまとめて
友達と別れたり先生に挨拶をしていた。
「まこと、またね―」
ひらひらと手を振り梨花子はドアへ向かった。
「うん明日ね」
教科書を鞄に戻しながら言った。
梨花子は昼寝してたら寝坊したらしく、今日は車の迎えだった。
自転車の私は別々に帰る。
「まっつんさよ―なら」
視界の隅で梨花子が黒板の文字を消している先生に声をかけているのが見えたが
気にしないふりをした。
「おう。気を付けてな」
「まぁね。気抜いたら襲われちゃうし」
ニッと笑顔で答える梨花子に先生は優しい笑顔で返す。
「ったく、お前な~」
…先生は誰にも優しいから 近づけなくていい。
自然と手が止まっていた。
どうやったら普通に話せるのだろうか。
意識するとさらに口が重くてしょうがない。
誰とも気軽に話せる梨花子を
羨ましいと思った。
先生は
「狭山?大丈夫か?」
2メートルくらい離れた黒板の位置から心配そうにいった。
「あ―はい。」
苦笑いをして先生を見て席を立った。
松崎先生は安堵の顔を見せると
私が教室を出るより先に
ドアをくぐり
顔だけ真琴に向けてフッと微笑んだ。
「気を付けて帰れよ。」
トントントン……
階段を降りる先生の足音をただ立ち尽くして聞いていた。
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