奏でる指先

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忙しさに追われ、緊張はどこかに吹き飛んでいた。 ……自分の出番直前になるまでは。 ――ドキドキ……!! 私は飛び出しそうなほどに鼓動を刻む心臓があるあたりを、両手で抑えた。 緊張するよー!! こんなに大勢の前で歌うなんて、いつ以来だろう? 小学校の学芸会以来だな。 ステージをチラリと盗み見ると、一つ前のグループがもうすぐ歌い終わるところだった。 ――ドキドキドキ……!! ヤバい、吐きそう……。 私は頭を抱えてしゃがみ込んだ。
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